tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

GDPを上回るGNIが日本の実力

2016年03月12日 10時12分18秒 | 経済
GDPを上回るGNIが日本の実力
 かつては日本経済の規模といえばGNP(国民総生産)でした、いまは、GDP(国内総生産)を使うのが普通です。

 ところで、GNPとGDPの違いは何でしょうか。
 GNP/国民総生産は、生産によって日本経済へ貢献(付加価値)を国籍(日本人、日本企業)によって合計します。今のGDP/国内総生産は、国境線によって日本国内で生産された付加価値の合計です。

 皆様すでにご存じのように、最近の日本経済は、海外で日本企業が結構な利益を上げるようで、配当として支払われる金額(国際収支統計の経常収支の中の第一次所得収支)が大変大きな金額になってきています。
 以前は、「日本企業は海外に行っても市場拡大がやっとで、利益率は低い」などと言われたものですが、今は利益を上げ巨額な配当を送ってきます。

 平成27年(暦年)の数字を見ますと20.8兆円で、前年比2.7兆円増です。ところがこれは日本国内で生まれた価値ではないので、GDPには入ってきません。

 日本のGDPは503兆円(今年度、政府経済見通し実績見込)ですが、これには第一次所得収支の20.8兆円は入っていないのです。
 では何を見れば、全体が把握できるのでしょうか。

 こうした海外からの所得収支を加えたものは、以前のGNPと似た概念で、今は、GNI(国民総所得:所得ですから生産面ではなく、同じものを所得面から捉えたもの)として国民経済計算(国民所得統計)に示されています。
 
 ということで平成27年度のGNI/国民総所得(政府経済見通し実績見込)を見ますと527.1兆円になっています。
 つまり、国民総所得として日本国民が使える金額は527兆円余で、そこまで使っても日本国は赤字にならない、ということです。

 この増えた分というのは、サラリーマンの家計で言えば、賃金のほかに持ち株の配当が入るようなものです。それも結構な金額です。
 日本が本格的に資本蓄積国家になった証拠でしょうか。これも日本の実力です。

 実力が付いたお蔭で考えなければならないことも増えました。 
 かつて日本は大幅な貿易黒字で、輸出しすぎるという批判を受け、アメリカとは、繊維交渉から、鉄鋼交渉、自動車交渉、半導体交渉と貿易摩擦を繰り返してきました。それでも黒字が続くので、何とか日本を弱くしたいとプラザ合意で円高を強いられました。
 
 最近は、貿易収支は赤字のこともあるぐらいになりましたが、第一次所得収支(海外からの配当収入)が大きくなって、経常収支の黒字は続いています。

 黒字の国は赤字の国(代表はアメリカ)から妬まれます。万年黒字の日本は「経済戦争の防衛力」を付ける必要があるようです。

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